『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー

本ときどき映画
現代風ハードボイルドの装丁がナイスな村上春樹訳の“長いお別れ”。
2007年3月の初版を買って満足していたらしく、外出自粛期間中に本棚を片付けていて発見した。
清水俊二訳の『長いお別れ』を読んだのはいつだっけ…30年前? いやもっと前かも…。
さて、村上春樹訳の『ロング・グッドバイ』を読んでみると、まるで村上春樹の小説を読んでいるような錯覚に陥る。それだけ村上春樹がチャンドラーの影響を受けているということなのだろう。そのあたりは巻末の「訳者あとがき 準古典小説としての『ロング・グッドバイ』」に詳しく書かれていた。なにしろ訳者あとがきが45ページもあるのだ。チャンドラーへの愛があふれすぎていて、いまいち理解できない部分も…(苦笑)
それと、こんなに長い小説だったっけ?? とも感じたのだが、これも訳者あとがきを読んで納得。清水俊二が意訳して端折っている部分を、村上春樹は丁寧に拾っているとのこと。『長いお別れ』のほうが歯切れよく、すらすら読めたような気もするけれど、当時は読むスピードが今より速かったのかもしれないし、『ロング・グッドバイ』では細かい描写をゆっくり楽しんだので、これはこれでよい。
ともあれ、フィリップ・マーロウは30年前と変わらずいい男だった。
ほかのマーロウシリーズも村上春樹訳で読み直してみようかな。
■『ロング・グッドバイ』
レイモンド・チャンドラー 著、村上春樹 訳(ハヤカワ文庫)
この記事へのコメントはありません。