『海辺の生と死』島尾ミホ
本ときどき映画
奄美大島の南にある島
加計呂麻島で生まれ育った島尾ミホが、
母から聞かされた昔の話や
子どもの頃の思い出を綴っている。
奄美大島滞在中に読んでみた。
たった80年前、90年前のことなのに
その情景はおとぎ話みたいで、
島の人も旅の人も、現代の私たちとは
違う世界、違う時間を
生きているように感じる。
後半は、震洋特攻隊の隊長で
のちに夫となる島尾敏雄への
恋情とその心の動きを軸に、
終戦前夜の出来事が語られる。
出撃するはずだった特攻隊と
集団自決を覚悟した島民たちは、
終戦によって生きのびた。
人々が望まない戦争によって
生と死に向き合わざるを得ない、
その状況がどういうことなのか、
私にはなかなか想像できなくて
もどかしくもある。
後半の物語は映画化され、
7月下旬から公開予定。
映画のほうも観てみたい。
■『海辺の生と死』
島尾ミホ 著(中公文庫)
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