『キッチン・コンフィデンシャル』アンソニー・ボーデイン
本ときどき映画
先日、たわいないおしゃべりの途中で
アンソニー・ボーデインの名前が出た。
…誰だっけ?
「ほら、昨年、自殺しちゃったシェフ」
と言われて思い出した。
『キッチン・コンフィデンシャル』の人か。
で、読んでみたら面白いーー。
アンソニー・ボーデインは
ニューヨークのブラッスリー「レアール」の
エグゼクティブ・シェフだった2000年、
レストラン業界の内幕を描いた本書が
大ヒットして有名人になった。
若い頃は酒浸りで、ドラッグ中毒。
破天荒な日々を送りながら、
一流のシェフになるために
一流のシェフであり続けるために
苦悩し、もがき続けた。
スピード感あふれる文体から、
ロックで知的で
チャーミングな人柄が伝わってくる。
けれど、亡くなったときの報道によると
晩年は鬱病に悩まされていたという。
本書の巻末には
シェフになりたい若者への
アドバイスが添えられている。
全14項目の1番目は「全身全霊を捧げよ」。
真摯な料理人だったのだなあ。
■『キッチン・コンフィデンシャル』
アンソニー・ボーデイン 著、野中邦子 訳(新潮社)
この記事へのコメントはありません。