『それでも、私は憎まない』イゼルディン・アブエライシュ
本ときどき映画
著者はガザ地区の難民キャンプで生まれ育ち、
貧困から苦労して医師になったパレスチナ人である。
イスラエルによる2009年のガザ爆撃で
3人の娘と姪を目の前で失った。
しかし、彼はイスラエル人を憎まない。
ただ「娘たちが最後の犠牲者であってほしい」と願う。
望みはパレスチナ人とイスラエル人の共存であり、
憎しみの矛先を一般化しても意味がないからだ。
ありがたくも平和な時代の日本に生を受けた私には
著者の壮絶な経験は想像を超える。
でも「物事を一般化しない」考え方は
私たちがほかの人や国とつきあう上で参考になる。
私自身、職業柄なのか、一般化するクセがある。
個々の事例に向き合うより、
もやっとまとめるほうが遥かに簡単なのだ。
忘れないように、心に留めておこう。
■『それでも、私は憎まない』
イゼルディン・アブエライシュ 著、乾亜希子・清田明宏 訳(亜紀書房)
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