告白 〜あるPKO隊員の死・23年目の真実/旗手啓介

2016年に放送されたNHKスペシャル
「ある文民警察官の死
〜カンボジアPKO 23年目の告白〜」
の書籍化(2018年1月発行)。

 

番組を観た人もいると思うけれど
(私もたまたま見た)
心にずしんと残る衝撃的な内容で、
いくつもの賞を受賞している。

でも、カンボジアPKOで日本の文民警察官が
亡くなった事件そのものは、
ああ、こういうことあったなあ、
ぐらいの記憶しかなかった。

番組取材は10カ月におよぶもので
49分の番組では伝えきれない複雑な背景が
本書では詳しく語られている。

 

代理戦争を発端とする内戦によって
“キリング・フィールド”となった
カンボジアを民主国家にするために、
1992年、国連のUNTACがPKOを派遣。
44カ国が参加した。

日本政府と外務省は各国から
人的貢献を求める圧力をかけられ、
初めて自衛隊を派遣したPKO。
UNTACのトップは日本人だった(明石康氏)。

 

PKOは派遣先の停戦合意が前提となるが、
現実は村人も自動小銃やロケット砲を持つ
殺伐とした戦場であり、
総選挙が近づくと、UNTACの施設や
PKO隊員が襲撃されて犠牲者が増えていく。

自衛隊は比較的安全な地域へ
600人全員が一部隊として派遣されたが、
日本の文民警察官75人は数人単位で各地へ。
事件が起きたアンピルは無法地帯だったという。

 

ところが、停戦合意を建前に
UNTACは適切な対策をとらず、
日本ではほとんど報道もされなかった。

他国ではPKO派遣を第三者が検証し、
公式文書を公開しているのに、
日本政府は事件の検証すらせず、
帰国したPKO隊員には沈黙を強いた。

 

正直、読みながら
怒りや憤りしか湧いてこなかった。
日本てこういうところがダメすぎる。
南スーダンも同じような状況なんだろう。
闇は深く、いろいろ考えさせられます。

 

番組はNHKオンデマンドで
PKOの概要は外務省ホームページで

恋歌/朝井まかて

『眩』をブログに上げたら
複数の友人が勧めてくれた本。

cover

 

恋愛小説でもあり。
歴史小説でもあり。

最初は空き時間に
ちょこちょこ読んでいたのだけれど、
そういう読み方はもったいない気がして
休みの日にじっくり読んだ。

 

水戸の話だったのかー。
しかも直木賞受賞作。

 

幕末の水戸藩は
尊皇攘夷の先鋒だったのに、
内紛と粛清を繰り返したせいで
維新後に活躍する人材が残らなかった。

その根底に貧しさがあった、
ということがひしひしと伝わってくる。

 

水戸藩の幕末は闇の歴史なのだな。
私(水戸出身)も学校では
ほとんど教わった記憶がない。
貧しかったとは聞いていたけれど…。

貧困は心を荒ませ、憎しみを生み、
次の世代へ連鎖していく。
尊皇攘夷の思想といい、
現代にも通じる話じゃない?

 

物語の舞台は実家の近所。
どの風景も頭の中で映像化できて
臨場感が倍増なのも
個人的なお得感。

下り坂をそろそろと下る/平田オリザ

いまやっている仕事は
“学び”に関する分野で、
あれこれ検索していると
平田オリザさんの名前をよく目にする。

大学や地域の文化施策に
たくさん関わっているのですね。
で、一冊読んでみた。

 

9784062883634_w

 

内容はタイトルそのまま。
右肩上がりの成長が終わり、
衰退期に入った日本は
下り坂をどのように下ればよいのか。

文化の学び、地域振興、震災復興、
嫌韓反中、新幹線、安倍政権の分析など
ダイナミックに展開する論考に
たくさんのヒントがあった。

 

著者の体験をもとに
先達の言葉を交えつつ
(司馬遼太郎センセイが頻出)
つまるところは、文化を核にした
「まちづくり」の重要性を説く。

現実を直視して
価値観を転換せよ、と。
肝に銘じよう。